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「西の魔女が死んだ」 梨木香歩 


子供の頃の思い出を何人かに聞いてみたのですよ。
仕事仲間とか、ある程度の距離感がある方々に。
思いのほか、結構皆忘れているものなんですね。
ある人は特定の一場面の他は何も覚えてないとか言って、……大丈夫かしら。
さておき、そうして比べてみると自分は結構覚えている方のようで。
何をしたか覚えているというのもあるけれど、その時にどう感じていたかとか、そういった事を覚えているのですね。
緑に包まれた林道を駆けている時の高揚感や霧に包まれた風景を眺めている時の気持ち。
親や大人からの言葉・態度への思い、葛藤。

主人公は中学生の女の子。
とても繊細な感性の持ち主で、人と人との触れ合いが少し苦手な方みたいです。
苦手というか、合わせる、協調に一つひとつ「なぜ?」と止まってしまう子かな。
でも、この気持ちって誰も一度はぶつかる壁じゃないかなぁ。
一旦止まってすぐにすんなり気にせず先に進む子もいれば、そこにずっと引っかかってしまう子もいる。
特に感受性豊かで傷つきやすい10代、情緒不安定で一つひとつに一喜一憂する年代なら、その壁がその後の人生左右する大きな壁になったりもするんじゃないかな。
物語に散りばめてある主人公の気持ちはどこか懐かしく、切なく、過去の自分と何度も出会っているような気持ちになります。
女の子が「魔女」とも呼ばれている祖母のところに行く所から物語が始まるのですが……。
あー、この「魔女」は一般的なイメージである怪しげなものではなく、えーと。
分かりやすく言うと「魔女の宅急便」のキキのお母さんみたいな感じでしょうか。
合ってるかな、これ。しかも分かりやすい…?
 …えーと。まぁ、そんな感じで。

お祖母ちゃんの暮らす世界は世俗から少し切り離されたような、イギリス辺りの田園風景を想像させる世界。
とてもシンプルな生き方で、ハーブを育ててお茶を飲み、鶏を育てて卵を頂き、野菜を育てて日々の糧を得る。
辺りに広がる野草、花、樹木、色とりどりの優しい世界と静かな空間。
文体がとても色彩豊かで、柔らかく、穏やかで、とても読みやすい優しい感じを受けます。
でもそれだけでなく、柔和な笑みと静かな声のお祖母ちゃんと、理屈でなくただ直感のままに敏感に揺れる少女、近代的な女性の母親…。
そんな女性の気持ちを直截でなく自然に読み取れる、いえ、こちらが考えることができるような文章との適度な距離感も感じられる作品でした。
何より、ずいぶん久しぶりに小さな頃の自分に再会できたのが嬉しかったな。
もう大人といわれる年齢の今の自分の視点で、たくさんのあの頃を振り返れたのは面白かった。
あー、この人も好きかも。他の本も読んでみようっと!
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