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「からくりからくさ」 梨木香歩 


この人の本っていうのは、こういう独特のものが多いなぁ。
決して嫌いな文体ではないけれど、世界観は山や谷のような盛り上がりはないのに、独特な色が強すぎて、好き嫌いがとても分かれそうな気がします。
染物や織物は身近な題材ではないけれど、私にはとてもとっつきやすく、だけどあんまりに論理に走りすぎる部分もあって、そこは適当に読み流しつつ……。
いや、だって、この作者の本は3冊目だけど今までで1番あくが強かったですよ…この本。
おまけに人物相関図…背景相関図?が、途中からどんどん、どんどんと複雑になってきて、途中で放棄しようかと。なんて。
実際、メモを取って整理して読んでいくか、読み流すかの選択をしなければ、私には読み終えられなかっただろうなぁ。
(メモ取りました。メモぐちゃぐちゃになりました。改めて見て、やっぱり複雑っしょ)


ただ今回は、あいかわらずのあのほのぼのとした世界観の中に、女の執念やその顛末が中心としてあった作品(だと思う)だったから、するんと読めて、そして特に考え込みもせず。
幸い……というか、残念ながら?というか、そういう身を焦がすようなすさまじい思いまではしていないのですよ。
鬼と変わり果てるような。
だから、与希子が念の詰まった能の面をつらつらーっと見れてしまったのと、ちょっと似ているかもしれない。
でも、蓉子が人の言葉や具体的な事象よりも前に、思いやその「色」みたいなものを芯において物事を見ているのも、どこか分かるところもある、かな。

あと、作品に出てくる蓉子、与希子、紀久、マーガレットの四人の性格、物の考え方や感性、それから育った環境。
その一つひとつがしっかり描かれていて、それが面白かった。
それがやっぱり一つの視点からに過ぎなかったとしても、結局自分には自分の考え方や環境が中心で、今は特にそれに引っ張られて、なかなか他の考え方に思いを巡らすまで辿りつかないから、こういうところにそのヒントが忍ばせてあると、ただただ感心するばかりです。
それと、いつか「城下町だった所の人は、何ていえばいいんだろう……うーん、本当にプライドが高くって…」というような事を聞いたけれど、それは何だかピンとこなかった。
そんなものなのかなぁ?と。
でも、今回のこの本で紀久の背景にあるのは正に古い城下町だった所の人で。
そして、遠縁とはいえその繋がりである初枝さんの言う、「家(文化)」に対する考え方や身構え方、その物言いは、私からしたら「何じゃそりゃぁ!」というようなものだけど、同時に、いつか聞いたプライド云々に、ようやく「なるほど!」と頷けたのでした。

あとはー……そうだ、雑草をね、食べるシーンが結構そこかしこにあったのですが、あれ、いいなぁ。
昔、学校で昔のご飯を体験しようと、色々な実を取った事があったんですよ。
私は猫じゃらし担当。
もう枯れて茶色くなった、あのふさふさを掌でほぐしてほぐして、小さな実を無数に一生懸命取っても、なかなか集まらなくて。
それからすり鉢に入れて、微妙な力加減ですってすって、なんどもモミの粉塵をふぅっと吹きのけながら、またすって。
それだけ労力をかけても出来たのはほんの一握りの中味。
それをほんの少しの湯で炊いて、塩で味付けして……。
だけど、そうして食べた僅かな一口のそのご飯がおいしかったこと!
絶妙だ!と思いつつ……そこかしこに生えている、名も知らない雑草が生活の手段だった時の事に思いを馳せるのでした。
命って不思議。
時代も不思議。

さておき、この作品と「りかさん」はリンクしているらしいですね。
今度はそっちが読んでみたいなぁ。
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