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「りかさん」 梨木香歩 


「からくりからくさ」の前の話だったんですね。子ども時代。
こっちから読んだ方がとっつきが良かったかなぁ?とも思いましたが、それにしては知らなければあまりにも些細な、伏線がたくさん散らばっていたので、やっぱりこっちが後でよかったかな。
「からくりからくさ」→「りかさん」→「からくりからくさ」の順が面白いかもしれない。
夜の闇が失われて、どれくらい経つのでしょう?
ろうそくの灯りではなく、煌々とした無粋な電気が闇を破り、そこに息づいていた密やかなものまで突き破ってしまった、そんな気がしてなりません。
効率面、衛生面、治安面、様々な視点でいいことばかりに思える発展も、目に見えない形でバランスを崩し、結果として人としてのバランスも崩されているんではないか、むしろ自分自身が崩してしまっているんではないか、と。
漠然とした思いを昔から今に至るまで、時折強く思い起こされるけれど。
こうした本を読むと、なおさらそうした思いが揺り返されてなりません。
明るい光が人の心に息づく情緒すら奪っているのではないかと。
ま、考えすぎているのかもしれませんが、あまりに物にも人にも気持ち(機微)にも無頓着になりすぎているのが現状です。
私もまたその流れの中に身を置いている以上、こうした本や色んな物に触れ、せめて鈍ってしまわないように磨きをかけたいなぁと、ふと思いました。
そんな作品。

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「仔羊の巣」 坂木司 


冒頭の一説は、……ついにそっちの道に入ってしまったのかと思いました。

うーん。
この本を読んで、すっかり分からなくなりました。
相変わらず自分の世界を突っ走っているような文だし、それぞれのキャラクターが独立しているかと思いきや、ある瞬間に全て同じ色になってしまいがちだけど。
それから、この人のこの世界はライトノベルで出した方が受けそうだし、売れるんじゃないかしらとか、余計なお世話としかいえないような思いも巡るけれど。
何よりこの作者は、読者が坂木と鳥井の関係を「おいおーい、お前らそっちの道なんじゃないのー?」と言われることを前提にして書いているのだなぁ……とはっきり思えた、というか強いほどにそれを押し出してきたような作品だなぁと。
意味が分からない。
でも、女子中高生の中には、多分割と多い割合でこういう危ない友情関係にキャッキャと嬉しがりそうな子がいると思うから、やっぱりライトノベルのほうが……。
だから、余計なお世話だって?

3冊のうちの2冊目までも読んでしまったし、3冊目も読むべきかしらと思うけれど……。
どうもこの人の本は、抵抗なくするする読める話で、中断してもすぐに読み進められる本だというのに、かといって引っかかりどころもないのがネック。
読んでもいいし読まないでもいいと言っているうちに時が経ちそうな気がします。
結構失礼な話。すんません。

「桃山ビート・トライブ」 天野純希 


人にですね、この本の内容を説明する機会が二度ばかりあったのです。
でも……伝えられないーっ、この面白さを!(悔しい!!)
誰か、教えて下さい。
簡単に短く、溢れんばかりのこの本の面白さを伝える紹介文を!
必死に伝える私を尻目に、友達は「ああ、桃山時代のバンドね」とひと言で結論付けたけれど。

……ああ! バンドね!

……か?

でも彼女は音楽もバンドもかなり詳しいから、その情熱も私よりもずっと通じるのかもしれない。

それにしても、三味線の藤次郎、舞い手のちほ、笛吹きの小平太に、太鼓の弥介。
4人のキャラクターがそれぞれ突き抜けて個性的なこと。
いや、小平太はきわめて無難を突っ走っているのだけど、他の3人の超個性的の中ではかえって際立ったりもして。
ああぁ、小平太。小平太さん。苦労性のあなたに乾杯。
そんな星の下に生まれちゃったあなたに乾杯☆
そして彼らを血液型にあえて当てはめるなら、藤次郎が俺様一直線のB型。
ちほが天才なのか変人なのかのAB型。
弥介は細かい事こだわりマセーンのO型。
そして言うまでもなく、ちまっちまこまい事をこだわる小平太さん、A型。
あぁ、そりゃあなた、苦労性のわけですよ。
あえてそこに身を置いているのでござんすよ、あーた。

さておき、ということで、読んでいてめっぽう面白かったです!
武将が次々と天下を取り合っていく激動の中を、ひたすら自分の音楽を突き進む、そのためなら道義はかっ飛ばす!
といっても、純粋な人たちの集まりだから、突拍子ないことはしても悪事はしないんですけどね。
そんな分かりやすさが次の文へと目を走らせて、その文体もまたそんな彼らの背をびゅんびゅんと追い風吹くような軽やかさ。
あっという間に読んでしまう本でした。
彼らと一緒に走り抜けろ!(きゃー!)



あと、私事ながら面白い偶然もありましたよ。
私は音楽のことも、雅楽の事もまるで疎いけれど、興味ばかりはあるもので。
この本を読んで笛の音だとか、三味線だとか、太鼓だとか、自分の中で轟々と音を立てて鳴りっぱなしで興奮していたのですよ。
その合間に、ふと立ち寄った夜桜見学。
宴の余興なのか、三味線ライブに太鼓の生演奏(多分そういう集まりの宴会だったのでしょうね)に出くわしてしまって、中で鳴りっぱなしだった音楽が現に表れたその夜は、もう……もう、言葉に言い表せない興奮の一夜だったのです。
熱視線を送られた演奏者達は若干ひいていたかもしれない(ごめんなさい)。
そして改めて思ったのは……あー…、この本の中の世界を実際に見たいなぁ、と。
特にラストの怒涛の展開、群衆の中で無我の域で舞うちほとその音楽は、すごく、実際の目と耳と肌で感じたい!
でも映画とかドラマとかアニメとか、そんなもので見たら、かえって崩れそうな怖さもある。
この本の中に入って見られたら最高なのになぁ、なんて。
学生時代以来の思いが、久しぶりにふつふつっと煮えたぎらせた、そんな興奮の一冊でした。

最近、毎日が繰り返しで、少し刺激がほしい……という人には結構オススメ。
でも、心が疲れている人は、かえってあてられてしまうと思うので、not オススメ。

「からくりからくさ」 梨木香歩 


この人の本っていうのは、こういう独特のものが多いなぁ。
決して嫌いな文体ではないけれど、世界観は山や谷のような盛り上がりはないのに、独特な色が強すぎて、好き嫌いがとても分かれそうな気がします。
染物や織物は身近な題材ではないけれど、私にはとてもとっつきやすく、だけどあんまりに論理に走りすぎる部分もあって、そこは適当に読み流しつつ……。
いや、だって、この作者の本は3冊目だけど今までで1番あくが強かったですよ…この本。
おまけに人物相関図…背景相関図?が、途中からどんどん、どんどんと複雑になってきて、途中で放棄しようかと。なんて。
実際、メモを取って整理して読んでいくか、読み流すかの選択をしなければ、私には読み終えられなかっただろうなぁ。
(メモ取りました。メモぐちゃぐちゃになりました。改めて見て、やっぱり複雑っしょ)


ただ今回は、あいかわらずのあのほのぼのとした世界観の中に、女の執念やその顛末が中心としてあった作品(だと思う)だったから、するんと読めて、そして特に考え込みもせず。
幸い……というか、残念ながら?というか、そういう身を焦がすようなすさまじい思いまではしていないのですよ。
鬼と変わり果てるような。
だから、与希子が念の詰まった能の面をつらつらーっと見れてしまったのと、ちょっと似ているかもしれない。
でも、蓉子が人の言葉や具体的な事象よりも前に、思いやその「色」みたいなものを芯において物事を見ているのも、どこか分かるところもある、かな。

あと、作品に出てくる蓉子、与希子、紀久、マーガレットの四人の性格、物の考え方や感性、それから育った環境。
その一つひとつがしっかり描かれていて、それが面白かった。
それがやっぱり一つの視点からに過ぎなかったとしても、結局自分には自分の考え方や環境が中心で、今は特にそれに引っ張られて、なかなか他の考え方に思いを巡らすまで辿りつかないから、こういうところにそのヒントが忍ばせてあると、ただただ感心するばかりです。
それと、いつか「城下町だった所の人は、何ていえばいいんだろう……うーん、本当にプライドが高くって…」というような事を聞いたけれど、それは何だかピンとこなかった。
そんなものなのかなぁ?と。
でも、今回のこの本で紀久の背景にあるのは正に古い城下町だった所の人で。
そして、遠縁とはいえその繋がりである初枝さんの言う、「家(文化)」に対する考え方や身構え方、その物言いは、私からしたら「何じゃそりゃぁ!」というようなものだけど、同時に、いつか聞いたプライド云々に、ようやく「なるほど!」と頷けたのでした。

あとはー……そうだ、雑草をね、食べるシーンが結構そこかしこにあったのですが、あれ、いいなぁ。
昔、学校で昔のご飯を体験しようと、色々な実を取った事があったんですよ。
私は猫じゃらし担当。
もう枯れて茶色くなった、あのふさふさを掌でほぐしてほぐして、小さな実を無数に一生懸命取っても、なかなか集まらなくて。
それからすり鉢に入れて、微妙な力加減ですってすって、なんどもモミの粉塵をふぅっと吹きのけながら、またすって。
それだけ労力をかけても出来たのはほんの一握りの中味。
それをほんの少しの湯で炊いて、塩で味付けして……。
だけど、そうして食べた僅かな一口のそのご飯がおいしかったこと!
絶妙だ!と思いつつ……そこかしこに生えている、名も知らない雑草が生活の手段だった時の事に思いを馳せるのでした。
命って不思議。
時代も不思議。

さておき、この作品と「りかさん」はリンクしているらしいですね。
今度はそっちが読んでみたいなぁ。

「刀語(カタナガタリ)第一話 絶刀・鉋」 西尾維新 


何年か前からだったか、気づいたらいつの間にかライトノベルの棚に妙な装丁の本が混じり出した。
文庫サイズよりも大きく、ちょっとした箱に入っていながらハードカバーでもなく。
そして、何より目に付いたのは値段が、「たっかいんすけど……」。
箱でちょっと期待しながら中の装丁を見て、この値段は払えないぞ、とまず思ったのだけど。
他の方はどう思っているのかが少し気になるところ。
イラストが目をひくから、少し興味があったのだけどどうしたものだろう……と思ったのが一年前くらいかな。
それからこうして読んでみて、時代小説だけどライトノベルの色が前面に出ているな、と。
大人になった私にはもう物足りなくなってしまったけれど、小中学時代に読んだら夢中でのめりこんだのだろうなぁ。
惜しい。

12ヶ月連続刊行とのことだけど、あー、もう終わっているのかな。
でもこれ、値段も値段だし、学生の懐に一冊この値段はきつくない?
あ、いや今の学生さんはお金持ちって話も聞くな……そうでもないのかな。
でもとりあえず高いんで、学校の図書館さんが買ってあげてください。
是非途中で購入やめるなんてせず(それ拷問ですから)、ちゃんと全冊揃えてあげて下さい。
その際、あのそっけない、そっけなさすぎる、ふとすると「この値段で…なに、この銀一色の表紙…」と呟きたくなる喧嘩腰の装丁に(あ、冗談です)、箱にある綺麗なイラストをペタンと貼っておいてください。
イラストが一番特徴的で手に取るための重要なキーだと思うので。
……これ、本の感想でないか。

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